S3 ストレージクラスの選択に迷った時みるチャートを作ってみた(2023年度版)

S3 ストレージクラスの選択に迷った時みるチャートを作ってみた(2023年度版)

S3 ストレージクラスの比較表を作成しました。アクセス頻度が高いストレージクラスになればなるほどストレージ料金が高額になり、取り出し料金が低額になります。アクセス頻度が低いストレージクラスになればなるほど取り出し料金が高額になり、ストレージ料金が低額になります。
Clock Icon2023.04.11

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コーヒーが好きな emi です。

クラスメソッドメンバーズをご利用の方向けに AWS 初級ハンズオンセミナーを実施することになりました。
限られた時間で S3 のすべてのストレージクラスについてお話するのは難しいため、今回は 6つのS3ストレージクラスの選択に迷った時みるチャートをつくってみた ブログの 2023 年度版として、S3 ストレージクラスの比較表と S3 ストレージクラス選択チャートを作成しました。

re:Invent 2021 で発表された S3 Glacier Instant Retrieval、S3 Glacier から名称が変更された S3 Glacier Flexible Retrieval も含めた新しい比較表・チャートになっております。

S3 ストレージクラス比較表

基本的に以下の傾向があります。

  • アクセス頻度が高いストレージクラスになればなるほどストレージ料金が高額になり、取り出し料金が低額になる
  • アクセス頻度が低いストレージクラスになればなるほど取り出し料金が高額になり、ストレージ料金が低額になる

それぞれ以下のような特徴があります。

S3 標準(Standard)

S3 ストレージクラス S3 標準(Standard)
特徴・用途 高頻度でアクセスされるデータ
保存データの例 ・汎用用途
・動的ウェブサイト、コンテンツ配信、モバイル・ゲームのアプリケーション、ビッグデータ分析など様々な用途で利用可能
データが保存される AZ 3AZ 以上
ストレージ料金 すべてのストレージクラスの中で最も高額
取り出し料金 無料
取り出しにかかる時間 即時取り出し可能

S3 標準 - 低頻度アクセス(Standard-IA)

IA は Infrequent Access (低頻度アクセス) の略です。

S3 ストレージクラス S3 標準 - 低頻度アクセス(Standard-IA)
特徴・用途 アクセス頻度は少ないが必要に応じて即時取り出しが必要なデータ
保存データの例 バックアップ、災害対策ファイルなど
データが保存される AZ 3AZ 以上
ストレージ料金 S3 標準(Standard)より低額
取り出し料金 わずかにかかる
取り出しにかかる時間 即時取り出し可能

S3 1 ゾーン IA

S3 ストレージクラス S3 1 ゾーン IA
特徴・用途 アクセス頻度が少なく必要に応じて即時取り出しが必要な重要度が低いデータ
保存データの例 ログ、再作成可能なデータなど
データが保存される AZ 1AZ のみ
ストレージ料金 S3 標準 - 低頻度アクセス(Standard)より低額
取り出し料金 S3 標準 - 低頻度アクセス(Standard)より高額
取り出しにかかる時間 即時取り出し可能

S3 Glacier Instant Retrieval

S3 ストレージクラス S3 Glacier Instant Retrieval
特徴・用途 アクセスはほとんどないが、即時取り出しが必要な長期間保存データ
保存データの例 医療画像、メディアアセットなど
データが保存される AZ 3AZ 以上
ストレージ料金 S3 1 ゾーン IA より低額
取り出し料金 S3 1 ゾーン IA より高額
取り出しにかかる時間 即時取り出し可能

S3 Glacier Flexible Retrieval

S3 ストレージクラス S3 Glacier Flexible Retrieval
特徴・用途 ・アクセスがほとんどなく、必要に応じて取り出し方法を柔軟に選択できる長期間保存データ
・すぐにアクセスする必要がない場合、大量データの無料取り出しも可能
保存データの例 バックアップ、災害対策、オフサイトのデータストレージなど
データが保存される AZ 3AZ 以上
ストレージ料金 S3 Glacier Instant Retrieval より低額
取り出し料金 ・迅速:高額
・標準:低額
・大容量:無料
取り出しにかかる時間 ・迅速:1~5 分
・標準:3~5 時間
・大容量:5~12 時間

S3 Glacier Deep Archive

S3 ストレージクラス S3 Glacier Deep Archive
特徴・用途 アクセスがほとんどなく、取り出しに時間がかかる長期間保存データ
保存データの例 ・コンプライアンス要件により7~10 年以上保管の必要があるデータ
・バックアップや災害対策
・磁気テープのデータ
データが保存される AZ 3AZ 以上
ストレージ料金 すべてのストレージクラスの中で最も低額
取り出し料金 ・標準:高額
・大容量:低額
取り出しにかかる時間 ・標準:12 時間以内
・大容量:48 時間以内

S3 Intelligent-Tiering

S3 ストレージクラス S3 Intelligent-Tiering
特徴・用途 ・アクセス頻度の予測がつかないデータ
・アクセス頻度に応じてデータの格納ティアが自動最適化される
保存データの例 アクセス頻度の予測がつかないデータ
データが保存される AZ 3AZ 以上
ストレージ料金 データのアクセス頻度により最適化される
取り出し料金 原則かからないが、データ格納ティアがアーカイブアクセス層で、迅速取り出しを行う場合のみ料金が発生する
取り出しにかかる時間 データの格納ティアによる
モニタリング料金
オートメーション料金
かかる

S3 Intelligent-Tiering では、128 KB 未満のオブジェクトはモニタリング料金とオートメーション料金の対象外となり、自動的に高頻度アクセスティアに保存され高頻度アクセスティア料金で課金されます。

料金の詳細は以下のページでご確認ください。

S3 ストレージクラス選択チャート

ライフサイクルポリシーに関する補足

これまで紹介した通り、S3 Standard 以外のストレージクラスでは取り出し料金がかかります。また、書き込み料金(PUT リクエストによる課金)もストレージクラスによって異なります。

アクセスが少ないデータに関してはライフサイクルポリシーで Glacier へ移行することも考えられますが、Glacier への PUT リクエストは S3 Standard よりも高額になるため、1 オブジェクトのサイズが小さくオブジェクト数が大量にあるというケースでは、Glacier へのライフサイクルポリシーで移行することによって逆にコスト増になってしまう場合があります。

終わりに

S3 ストレージクラスのどれを選択するか迷った時に参考にしていただけますと幸いです。

参考

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